2020年10月2日(金)、日帰りも出来る安達太良山ですがあえてくろがね小屋で1泊してきました。今のくろがね小屋は半世紀以上前に建てられたもの。老朽化が進んだので来年から建て替え工事が始まる予定なのですが、以前から建て替え前の歴史あるくろがね小屋に泊まりたいと思っていたので、今回足を運んでみました。
くろがね小屋は山小屋にしては珍しくGoToトラベル対象。今回恩恵をうけることができたのでラッキーでした。
2020年度の紅葉には少し早かったのですが、安達太良山の紅葉は以前にも見た事があり、小屋の予約を優先した結果この日の訪問となりました。
安達太良山のざっくりとした地図
※上の地図は登山用ではありません。登山の際は必ず「山と高原地図」などの登山用地図を持っていきましょう。安達太良山は「山と高原地図 磐梯・吾妻」に載っています。
今回は奥岳バス停からロープウェイで上がり、安達太良山登頂後に沼ノ平方面へ移動。沼ノ平火口周辺を散策したらくろがね小屋に下って1泊。翌日奥岳バス停へ下り、奥岳の湯に入ってからバスで帰路に着きました。
安達太良山へのアクセス方法
安達太良山へのアクセス方法は長くなったので別記事にしています。
安達太良山登山に役立つリンクいろいろ
・福島交通:登山口がある「奥岳行き」のバスを運行している会社
・くろがね小屋:標高1,400mにある山小屋。温泉があり日帰り入浴もできる
・安達太良高原リゾート:安達太良ロープウェイ情報、日帰り温泉「奥岳の湯」情報など
くろがね小屋宿泊情報
※2020年10月時点
- 携帯の電波は基本届かない
- コロナ対策で宿泊人数を制限中
- くろがね小屋は予約制。宿泊の際は必ず電話を。3日前までにお願いしますとのこと
- 1泊2食¥6,600、素泊まり¥4,100など。冬は暖房料+¥400
- 宿泊受付13:00〜、翌日は07:00までに小屋を退出
- 夕飯17:30、朝食05:30、消灯21:00
- コロナ対策で寝具の提供は無いのでシュラフを持参すること
- コロナ対策のため温泉へ同時に入れるのは2人まで。受付で声をかけると札を渡されるシステム
- くろがね小屋の温泉は石鹸等使用不可。ドライヤーは無い
今回使ったお金
東京〜安達太良山 交通費 | |
---|---|
東京→福島駅(夜行高速バス) | ¥4,200 |
福島駅→二本松駅(電車) | ¥418 |
二本松駅前→奥岳(バス) | ¥800 |
ロープウェイ料金(片道) | ¥1,050 |
奥岳→岳温泉(バス) | ¥300 |
岳温泉→二本松駅前(バス) | ¥500 |
二本松駅→郡山駅(電車) | ¥418 |
郡山駅→バスタ新宿(高速バス) | ¥3,190(早割) |
計 | ¥10,876 |
※これに東京駅〜自宅最寄り駅の電車代が追加される
その他支出(飲食代を除く) | |
---|---|
くろがね小屋 | ¥6,600→GoTo適用で¥4,300 |
奥岳の湯 | ¥650→ロープウェイ券持参で¥600 |
計 | ¥4,900 |
安達太良山とくろがね小屋の写真など
今回は東京近郊 → 郡山駅or福島駅 → 二本松駅 → 奥岳バス停と移動します。
夜行バスに乗るため東京八重洲南口へ。そこで高速バスの電光掲示板を見てびっくり。コロナの影響で多くの便が運休になっていました。運休の便があることは知っていましたがここまでとは…。郡山・福島行きが運休になっていたら今回の計画は立てられなかったので、運行していることが本当にありがたい。
今回乗るバスは3番のりば発。いつもだと7番のりばからみたいなんですが、他のバスの運休等色々あって変わったのかな?色々変則的になっているので確認が必要です。
今回は23:50の夜行バスで福島駅まで行きました。郡山駅で降りても良いのですが、今回のバスは郡山駅に04:40着。郡山駅から少し歩いたところに24hファミレスがあるので時間を潰す場所はあるものの、いかんせん潰さなければいけない時間が長すぎる。
一方福島駅には06:00着。こちらの方が潰す時間が短いし、バスの中で1時間20分多く寝ていられるし。……という理由で福島駅着を選びました。
今回は3列独立のバスを選んでみました。4列だと隣の人に気を使わなくてはいけないけれど、3列は一応独立した空間が生まれるから心も体もめちゃくちゃ楽です。
福島駅には定刻通りの到着。私の乗ったバスは東口着でした。西口から歩いて数分のところにあるファミレスで時間を潰す事も考えたのですが、Googleマップによると、まず東口から西口に出るのに時間がかかる検索結果だったのでやめました。
歩いて3分くらいのところにあるセブンイレブンで飲食物を購入。改札を入るとホームに屋根付きの待合所があったのでそこで少し時間を潰して、来た電車に乗って早めに二本松駅へ移動。
二本松駅と二本松駅前バス停の写真は撮り忘れてしまったのですが、二本松駅の改札は1ヶ所で、改札を出てすぐのところに二本松駅前バス停があります。ちなみに二本松駅のすぐ近くにもセブンイレブンがあります。
今回、バスに乗ったのが平日だったので、二本松駅前08:06のバスに乗車。(この辺りの詳細は「安達太良山へのアクセス方法」を見ていただければ)
08:51、奥岳バス停に到着。
今回バスはすんなり着きましたが、以前紅葉の季節に来た時は車の駐車待ち渋滞にバスがひっかかってしまい、道路の途中で下車して奥岳バス停まで25分くらい歩いたので、混雑が予想される日は余裕をもった計画を立てるのが良いと思います。
ロープウェイ山麓駅1Fでトイレを済ませ、文明の力を借りて標高1,390mまで。ちなみにロープウェイ山頂駅にもトイレはあります。
ちなみに……、紅葉にはまだ少し早い平日だったのでロープウェイの待ち時間は10分くらいだったけれど、以前紅葉の季節に来た時は20分くらい待った記憶があります。
ロープウェイ山頂駅の目の前が登山口。ここから登っていきます。
歩き始めてすぐの分岐。左:安達太良山頂登山道に向かっても良いのですが、有名な「ほんとの空」を見たいなら右:薬師岳パノラマパーク方面に行きましょう。寄り道にはなりますが、そこまで遠回りでもありません。
ほどなく広い場所に出ます。標識に書かれている「この上の空がほんとの空です」。これは高村光太郎の智恵子抄に出てくる言葉です。
智恵子は東京に空がないという
ほんとの空が見たいという
(中略)
智恵子は遠くを見ながらいう
阿多多羅山(安達太良山)の山に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという
あどけない空の話である
紅葉は全体的にはもう少し先といったところ。というのも…
こちらは2018/10/08にほぼ同じ場所から撮った写真。紅葉真っ盛りの時はこのくらい色付くのです。
とはいえ、もう10月。山頂に近付くにつれ、一部色付きはじめている場所も出てきます。
高度を上げていくとわずかながらも紅葉を楽しめました。
さらに上へと登っていきます。
ロープウェイ山頂駅を出発して1時間15分ほどで安達太良山に到着。
後ろを向くとどんどん雲が上がってきており、なんだか不穏です……。
ところで、このもっこりしている岩が「乳首」と呼ばれている部分。こちらも登っておきます。
向かって右側から登ると鎖場が1ヶ所。
向かって左側から登るとはしごが1ヶ所。
どちらから登ってどちらから下りるかはお好みで。
右から登っても、左から登っても、山頂には5分もかかりません。
安達太良山の標識は下にもありましたが、こちらの標識も安達太良山。1,700mとありますが国土地理院の地図を見るに本当は1,699.7mです。……細かいこと言ってすみません。
山頂からは雄大な景色が望めるのですが、気付けばすっかり雲が多くなっていました。
山頂から次に進む方向を見下ろすと、
豆粒のように小さい人々。
高いところから見下ろしているので人が小さいのは当たり前なんですが、山に登ってこういった光景を目にすると、改めて自然は壮大で、それに比べてなんと人間は小さいのだろう……と思ってしまいます。
乳首から降りるとあたりはすっかり雲だらけ。
天気が悪くなってきたのは残念ですが、「ほ、ほらぁ……真の目的はくろがね小屋だしィ……」と自分に言い聞かせながら先に進みます。
歩き進めると黄茶の土が目立つ活火山らしい景色に変わってきて、
目の前に現れるのは迫力ある沼ノ平火口。
荒々しいけれど、ところどころに曲線のなまめかしさが存在していて見惚れてしまいます。
せっかくなので沼ノ平火口の周りを少し歩いてみることに。
しばらく進むと見晴らしの良い場所に出ました。天気が良かったら眺めが最高なんだろうな。
この先をさらに進んでいくとどんどんくろがね小屋から遠くなるので引き返すことに。
時々青空がチラッと見えたりもしたので鉄山方面にも行こうと思いましたが、歩いているうちに雲がどんどん湧きガスってきたので、予定を変更してくろがね小屋方面へ下って小屋でゆっくりすることに。
峰の辻をくろがね小屋方面に下っていくと…
「登山あるある:下山すると晴れるやつ」が発動。oh……。
登り返してもよかったのですが、心はもう小屋でゆっくりする方に傾いてしまっていたので、このまま下ることに。
峰の辻からの下り道は歩いても歩いてもなかなか小屋が見えて来ず。そのうちだんだん道も細くなっていきます。
まだ見えない、まだ見えない…と思いながら歩き進めていくと、突如現れる小屋。
小屋前のナナカマドが綺麗に実を付けていました。
あこがれのくろがね小屋着。さっそく宿泊手続きをします。
小屋番さんに写真を撮って良いか聞いてみたところ、「色々撮っていきなよ」と言ってくださいました。
今回の部屋がこちら。
広い部屋ですが、コロナ対策で距離をとるためこの部屋は4人で使用でした。
趣があって、どこかなつかしく、木のぬくもりを感じる館内。心がほっこりします。
温泉入浴は21:30まで可能。
脱衣所にある水場。飲料水としても使えます。無料です。
泉室は酸性・含硫黄ー単純温泉。
適応症に喘息や肺気腫、睡眠障害やうつ状態も入っていました。他の温泉成分表をきちんと見たことがないのですが、この温泉はそういった症状にも効くのですね。
びっしりとついた湯の花。
(湯の花:温泉水が外の気温や岩などの温度差によって冷やされ、その時に温泉の成分が結晶となって浴槽などについたり浮かんだりしているもの)
お湯は肌触りがとても良くまろやか。「硫黄臭くてたまらん!」という訳でもないのでいつまでも入っていられます。熱くて入れない場合は別蛇口から水が出るので桶で水を入れながら入ると良さそうです。私が入った時は誰かが入った後だったのか丁度良いお湯加減でした。
山小屋でいただくお風呂、しかもすぐそこが温泉源ですから極上以外の言葉が見つかりません。
温泉から上がった後は小屋番さんと雑談したり、携帯の電波が届かないのを知っていたので持ってきた本を読んだり、部屋でただただゴロゴロして過ごしたり、また温泉に入ったり。久しぶりにゆっくりとした贅沢な時間を過ごしました。
夕飯は17:30からカレーライス。福神漬け&らっきょう含めおかわりが可能です。みんな登山後でお腹が空いていたのでしょうか、私を含めてほぼ全員おかわりをしていたような。
朝ごはんは05:30から。卵は温泉卵、その隣にあるのはこんにゃくとすじ肉(かな?)の味噌煮です。
小屋の退出時間は07:00までなので、食後ものんびり過ごすという訳にはいかず。身支度をして、小屋番さんに挨拶をして、小屋を後に。
翌日は曇り空。天気予報も1日曇りだったので、ここから登り返すことはせずにこのままゆっくりと下山することに。
くろがね小屋〜奥岳バス停までの道は足元がとても良いので、登山に不慣れな人でもくろがね小屋に泊まりに来れそうです。
くろがね小屋から下山して10分もしないところで振り返ってみると、このロケーション。この景色は昨日の青空があるうちに写真を撮っておきたかった……!
足元が良い道が続くのでスルスルと下山してしまい、予定よりだいぶ早く奥岳バス停近くまで戻ってきてしまいました。この時点で08:20。
下山後は奥岳の湯に入る予定だったのですが、奥岳の湯は10:00から……。
仕方がないのでレストハウスで時間を潰すことに。ありがたいことにこのレストハウスはWi-Fiがあったのでうまく時間を潰すことができました。
10:00になったら奥岳の湯へ。ロープウェイ券を持っているとお風呂が割引になったので無くさず&捨てずに持っていると良いでしょう。そういやこちらの温泉は白濁していませんでした。源泉が違うのかな?詳しいことがわからず申し訳ないです。
くろがね小屋では石鹸等が使えなかったので、こちらで頭などを洗って帰路への身支度を。退館後、バスの出発まで時間があったので再度レストハウスで時間を潰しました。Wi-Fi万歳。
奥岳バス停から岳温泉バス停まで行き、岳温泉で二本松駅前行きに乗り換え。二本松駅に着いたら東北本線に乗り郡山駅まで移動。郡山駅でバスタ新宿行きの高速バスで帰路に着きます。おつかれさまでした。
冒頭にも書きましたが移動手段の詳細は別記事に書いたので、こちらもご覧ください。
おわりに
実はくろがね小屋は今年から建て替え工事が始まる予定だったのですが、工事スケジュールが遅れたため作業に入れないので今年も営業になったという経緯があります。いまのところ営業期間は2021年3月31日まで。以降建て替え工事が進められる予定ですが、コロナの影響などもあるので今後の立て替え予定がどうなるかはわかりません。
ただ、工期が遅れたおかげで今の状態の小屋に今年泊まれたので本当にありがたい。
「またおいで」と小屋番さんが優しい声をかけてくれたので、立て替えが終わったらまた泊まりに行きたいな。新しい小屋は何年後で、どんな風になっているのでしょう?今後の楽しみがひとつ増えました。